「AIに小説を書かせたら、設定は無視され、文体もばらばら」——原因は、一度に頼みすぎていることが少なくありません。私は業務でプロンプトを要素分解し、ローカルLLMへ第1話を書かせる検証でも、設定と場面を分けて渡しました。
結論は、4ブロックで渡し、1回の目的を1つに絞ること。すぐ使える雛形10本と長編用の毎章テンプレへ落とし込みました。クラウドAIでもローカルLLMでも同じ型で使えます。
雛形だけ欲しい方はコピペ雛形10本へどうぞ。ローカルLLMで書く環境づくりから始めたい方はローカルLLM×小説の記事、クラウドも含めたツール選びはAI小説の書き方が入口です。
結論|「4ブロック×目的1つ」で小説プロンプトは9割決まる
📖 この章で使う用語
- プロンプト:AIへの指示文。営業時代の私の言葉でいえば「話す前に整える台本」です。
- システムプロンプト:AI全体の役割を最初に固定する指示。「あなたは三人称の語り手」と最初に役を与えるイメージ。
先に型そのものを示します。小説のプロンプトは、次の4ブロックに分けて渡すとAIが迷子になりにくくなります。
- ①世界観・設定:時代・場所・ジャンル・前提
- ②キャラクター・関係性:名前・性格・口調・関係
- ③文体・視点・時制:一人称/三人称・敬体/常体・時制
- ④出力制約:分量・形式・「この場面だけ」の範囲指定
そしてもう1つの柱が、1回のプロンプトで頼む目的を1つに絞ることです。「プロットも本文も推敲も一度に」と頼むほど出力は崩れます。プロットを出す・キャラを固める・本文を書く・直す、は別々のプロンプトに分ける——これが雛形を10本に分けている理由です。
この型は、私が業務で議事録や画像生成のプロンプトを「主題×スタイル×制約」に要素分解している発想を創作に応用したものです。第1話の生成検証ではこの発想で設定と場面を分けて渡しましたが、10本すべてを小説生成で個別に実証したわけではありません。「絶対この型が正解」ではなく、出てきた文章を見て足し引きする出発点として使ってください。
コピペで使える雛形10本|プロットから推敲まで目的別
📖 この章で使う用語
- プロット:物語の骨組み(あらすじと展開の設計図)。
- 設定シート:人物や世界観を箇条書きでまとめたメモ。長編の一貫性の生命線です。
雛形だけなら、この無料記事の10本をそのまま使えます。第1話を通す順番や、うまくいかなかった出力の直し方まで先に見たい方には、実際の初稿・失敗テイク・リテイクとプロンプト30本を収録した¥980のガイドがあります。環境構築の章まではnoteで無料試し読みできるため、必要な深さかを確かめてから選べます(価格・内容の最新情報は note でご確認ください)。
雛形は、骨組み(1〜3)→本文(4〜7)→仕上げ(8〜10)の順です。同じ指定を繰り返す段階なら、Claude CodeのSkillとして常設する方法もあります(出力の扱いは著作権と規約の整理をご確認ください)。
骨組みをつくる(雛形1〜3)
雛形1:プロット(章立て)を出させる——いきなり本文を頼まないのが最大のコツです。
次の前提で、短編小説のプロットだけを作ってください。本文はまだ書かないでください。
【ジャンル】現代ファンタジー
【舞台】深夜にだけ開く古い図書館
【主人公】本が読めなくなった元編集者の女性
【出力】起承転結の4部構成。各部を2行のあらすじで。物語を貫く謎を1つ含める。
雛形2:キャラクター設定シートを作らせる——人物がぶれる原因はほぼ設定不足です。書く前に固めます。
次のキャラクターの設定シートを作ってください。
【役割】主人公。30代女性、元編集者
【性格の核】本への愛情と、読めなくなった焦り
【出力項目】名前の候補3つ/口調と一人称/口癖/長所と弱点/物語開始時点の目標
箇条書きで、各項目1〜2行。
雛形3:世界観・舞台のディテールを出させる——描写の材料を先に仕入れておくと、本文の密度が上がります。
次の舞台について、小説の描写に使えるディテールを出してください。
【舞台】深夜にだけ開く古い図書館
【出力】①視覚 ②音 ③匂い ④手触り の4分類で、各3つずつ箇条書き。
ありきたりな表現は避け、具体的な名詞で。
本文を書かせる(雛形4〜7)
雛形4:第1話の冒頭を書かせる——システムプロンプトで語り手を固定してから、4ブロックで場面を渡します。
# システムプロンプト(対応していれば最初に設定)
あなたは三人称・主人公視点の語り手です。常体・過去形で、
説明しすぎず情景で語ってください。
# ユーザープロンプト
【世界観】現代日本。深夜にだけ開く古い図書館。季節は初夏。
【キャラクター】主人公は本が読めなくなった30代の元編集者。無口で観察眼が鋭い。
【文体・視点・時制】三人称、主人公視点、常体、過去形。
【出力制約】主人公が初めて図書館の扉を開ける冒頭シーンを600〜800字で。会話は入れない。
雛形5:続きの場面を書かせる——「前の場面の要約」を添えるのがポイントです。AIは前回の出力を覚えていない前提で渡します。
小説の続きの場面を書いてください。
【ここまでのあらすじ】主人公は深夜の図書館に迷い込み、司書を名乗る老人に出会った。
【この場面で起きること】老人が「あなたの探している本はここにはない」と告げる。
【文体・視点・時制】三人称、主人公視点、常体、過去形(前の場面と同じ)。
【出力制約】800字前後。場面の最後は次章への引きで終える。
雛形6:会話シーンを書かせる——口調の指定を具体的にするほど、キャラの声が分かれます。
次の2人の会話シーンを書いてください。
【人物A】主人公。無口。短い文で話す。一人称は「私」。
【人物B】司書の老人。回りくどい敬語。質問に質問で返す癖。
【場面】Aが「この図書館は何なのか」を問いただす。Bははぐらかしつつ1つだけ手がかりを渡す。
【出力制約】会話中心で600字程度。地の文は最小限。
雛形7:情景描写だけを書かせる——描写が弱いと感じたら、場面を止めて描写だけ頼むのが近道です。
次の場面の情景描写だけを書いてください。ストーリーは進めないでください。
【場面】夜明け前の図書館。窓から最初の光が差し込む。
【視点】主人公の三人称視点。
【出力制約】300字程度。雛形3で出したディテール(ここに貼る)から2〜3個を使う。
仕上げる(雛形8〜10)
雛形8:推敲・リライトさせる——ゼロから書かせるより、手元の文章を直させるほうがどのAIでも安定します。書いた原稿の磨き上げはローカルLLMでの文章校正でも深掘りしています。
次の文章を推敲してください。意味は変えず、以下の観点で直してください。
【観点】①冗長な表現を削る ②同じ語尾の連続を避ける ③説明を情景に置き換える
【出力】(1)推敲後の文章 (2)直した箇所を3点だけ箇条書きで
--- 原稿 ---
(ここに自分の文章を貼る)
雛形9:文体を指定して書き直させる——特定の作家名ではなく、特徴を言葉で指定するのが権利面でも安全です。
次の文章を、指定の文体で書き直してください。
【文体の特徴】短い文を重ねる/比喩は控えめ/心情は直接書かず行動と描写で示す
【注意】特定の作家の模倣ではなく、上の特徴だけを手がかりにしてください。
--- 原稿 ---
(ここに自分の文章を貼る)
雛形10:あらすじとタイトル案を出させる——投稿サイトや同人誌の紹介文づくりまでAIに手伝わせられます。
次の小説の「あらすじ」と「タイトル案」を作ってください。
【本文の要約】(物語の流れを3〜5行で貼る)
【出力】①読者向けあらすじを150字で(結末は伏せる) ②タイトル案を5つ、方向性を変えて
10本に共通するのは、目的を1つに絞る・出力の形を数字で指定する・出てきたものを見て調整する、の3点です。プロンプト設計の考え方そのものはAI画像生成のプロンプト記事とも同じ発想で、要素に分けて渡すほどAIは安定します。
応用:夢小説(名前変換つき)を書かせる
検索で増えているのが「AI で夢小説を書きたい」という相談です。雛形4(場面を書かせる)の応用で対応でき、コツは主人公の名前をプレースホルダのまま書かせることです。
次の設定で、読者が主人公になりきれる「夢小説」形式の場面を書いてください。
【主人公】名前は書かず、すべて「(名前)」と表記する。一人称は「私」
【相手キャラ】(性格・口調・関係性を自分の言葉で3行で書く)
【場面】(どこで何が起きるかを2行で)
【出力】800字。(名前)の呼びかけを3回以上入れ、地の文は主人公視点で
権利面の注意を1つだけ。実在の作品のキャラクターを使った夢小説は二次創作にあたるため、公開する場合は各作品・公式のガイドラインと投稿先の規約を必ず確認してください(このあたりの考え方はQ4 の著作権の話と同じです)。オリジナルキャラクター相手なら、この心配なくそのまま使えます。
長編で破綻させない運用|毎章コピペする2つのテンプレ
📖 この章で使う用語
- コンテキストウィンドウ:AIが一度に覚えていられる文章量の上限。超えると最初の設定を忘れます。
- 段階詳細化:あらすじ→章立て→各章本文、と段階を踏んで具体化する書き方。
長編で「3章まで寡黙だった主人公が10章で饒舌になる」のは、AIの記憶が有限だからです。無料で進めるなら毎章テンプレを貼り直せば十分で、Claude Code を使い同じ技法を毎章呼ぶなら Skill 化が次の選択肢になります。ローカル環境から第1話までの実測ガイドと、クラウドの Claude で技法を Skill に仕込むガイド(¥980・第1章まで無料試し読み)を、目的で分けて選べます。価格・内容の最新情報は note でご確認ください。
仕組みの詳しい整理はローカルLLM×小説の一貫性の章に譲り、ここでは運用でどう抑えるかだけをテンプレにします。
やることは2つです。(1)段階詳細化で書く:あらすじ→章立て(雛形1)→各章本文(雛形4・5)の順に進める。(2)毎章、記憶を渡し直す:章を書かせるたびに、次の「章冒頭テンプレ」をプロンプトの先頭に貼ります。
# 毎章の冒頭に貼るテンプレ
これから小説の第◯章を書いてもらいます。先に前提を渡します。
【設定シート】(雛形2で作った人物メモをここに貼る)
【ここまでのあらすじ】(前章までを3〜5行で貼る)
【文体・視点・時制】三人称、主人公視点、常体、過去形(全章共通)
【この章で起きること】(章立てから該当行を貼る)
【出力制約】1,500字前後。章の最後は次章への引きで終える。
あらすじは自分で書かなくて構いません。章が終わるたびに次のテンプレでAI自身に要約させて、ストックしておきます。
いま書いた章を、次章のプロンプトに使う「あらすじメモ」にしてください。
【出力】①出来事の要約を3行 ②人物の状態変化を1行 ③張られた伏線を1行
この「設定シート+あらすじの渡し直し」は、私がローカルLLMで第1話(全4シーン・約2,500字)を生成したときも、シーンをまたぐたびに設定を先頭へ貼り直す形で使いました。地味ですが、破綻を抑える効果を最も感じた運用です。
ツール別の違いと、うまくいかない時のチェックリスト
📖 この章で使う用語
- ローカルLLM:自分のPCの中だけで動かすAI。入力が外部に送られないので、書きかけの原稿も気兼ねなく貼れます。
雛形の型はどのAIでも同じですが、渡す量の勘所が違います。1行でまとめると「クラウドはまとめて渡せる、ローカルは絞って渡す」です。
| ツール | 渡し方の勘所 | 補足 |
|---|---|---|
| ChatGPT / Claude / Gemini | 設定シートを丸ごと渡しても崩れにくい | 長編の一括管理はクラウドが楽。全体の使い分けはAI小説の書き方 |
| ローカルLLM(Ollama) | 1回に渡す設定と分量を絞る。8Bクラスは1場面800字前後が目安 | モデル選びは日本語ローカルLLM |
| ローカルLLM(LM Studio) | 型は同じ。長い創作プロンプトの推敲は履歴を見渡せるGUIが向く | 黒い画面が苦手な人の入口 |
ローカルの目安分量は、私が第1話検証で「1シーンずつ区切って書かせるほうが安定した」体感からの数字です。モデルの規模や量子化で変わるので、崩れたら分量を半分にして様子を見てください。
うまく書いてくれないときは、修正の前にこのチェックリストを上から確認すると早いです。
- 一度に頼みすぎていないか——プロットと本文を同時に頼んでいたら分ける(雛形1→4へ)。
- 禁止形で指示していないか——「〜しないで」より「〜してください」の指定形が通りやすいです。
- 出力の形を数字で指定したか——「短めに」ではなく「600〜800字で」。
- 設定を渡し直したか——場面をまたいで崩れたら、章冒頭テンプレ(前章)を貼り直す。
- モデルの限界ではないか——ここまでやって崩れるなら、プロンプトではなくモデル側の可能性。ローカルなら日本語に強いモデルへの入れ替え、クラウドなら上位モデルを試します。
よくある質問
Q1: AIに小説を書かせるプロンプトのコツはありますか?
A. 「①世界観・設定 ②キャラクター ③文体・視点・時制 ④出力制約」の4ブロックに分けて渡し、1回のプロンプトでは目的を1つに絞るのがコツです。プロットを出す・キャラを固める・本文を書く・直す、を別々のプロンプトに分けると安定します。本文の雛形10本はこの型で作ってあります。
Q2: ChatGPT・Claude・ローカルLLMでプロンプトは変えるべきですか?
A. 型は同じで使えます。違いは渡す量で、ローカルLLMの中小規模モデルほど、一度に渡す設定と書かせる分量を絞るほうが安定します。クラウドAIなら長めの設定シートを丸ごと渡しても崩れにくい、という差です。
Q3: 長編小説はどうやって書かせればいいですか?
A. 一発で書かせず、あらすじ→章立て→各章本文と段階を踏むのが定石です。さらに章を書くたびに、設定シートとここまでのあらすじをプロンプトの先頭に貼り直します。毎章コピペで使える運用テンプレを本文に置きました。
Q4: プロンプトの雛形はそのまま使っていいですか?著作権は大丈夫ですか?
A. 本記事の雛形は自由に使って構いません。注意が要るのは出力側で、生成した小説の権利関係・各AIの利用規約・モデルのライセンスは利用者の責任で確認が必要です。特定作家の文体模倣を指示するのは避け、特徴を言葉で指定する渡し方(雛形9)が安全です。詳しくは著作権と規約の整理へ。
Q5: プロンプト通りに書いてくれないときは、どこを直せばいいですか?
A. まず「一度に頼みすぎ」を疑ってください。目的を1つに絞る、分量と形式を数字で指定する、禁止形より指定形で書く、の3点で大半は改善します。チェックリストを上から順に確認するのが早いです。
Q6: 夢小説(名前変換つき)も AI に書かせられますか?
A. 書かせられます。コツは主人公の名前を「(名前)」のプレースホルダのまま書かせることで、雛形の応用節にコピペ用のプロンプトを置きました。ただし実在作品のキャラクターを使う夢小説は二次創作にあたるため、公開するなら各公式のガイドラインと投稿先の規約の確認が前提です。オリジナルキャラクター相手なら権利面の心配なく使えます。
この記事は、業務で使うプロンプト設計と、ローカルLLMで第1話を生成した検証をもとに書いています。雛形10本をすべて個別検証したものではありません。誤りはお問い合わせからお知らせください。
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- ローカルLLM 文章校正の現実 — 雛形8(推敲)の深掘り。書いた原稿を手元で磨く
- Ollama の使い方 — ローカルで書く環境その1(コマンド派)
- LM Studio 使い方 — ローカルで書く環境その2(GUI派)
出典
- OpenAI Prompt engineering guide(取得:2026-07-12)
- Anthropic Prompt engineering overview(取得:2026-07-12)
- Ollama Model Library(取得:2026-07-12)